ポエトリー・オン

「あなたを想い、引っ掻いて、透明は輝く。」水瀬紗彩耶が好きなもの、やりたいこと 

2025.08.23

2025年9月6日より幕を開ける舞台『振り子』に、高校時代のまどか(片瀬円香)役で出演が発表された水瀬紗彩耶。

映像作品や雑誌などの露出に加え、SNS上でも多彩な表情を見せる彼女に、好きなものや挑戦したいことを聞く。ゆっくりと語られたのは、想像以上に深いアニメ愛、そして「表現する」ことへのひたむきな思いだった。

好きなものと、仲良し姉妹に囲まれて

水瀬紗彩耶:好きなものを聞かれると、困ってしまうぐらいたくさんあります!この前の休日は1人で映画を観に行き、お散歩しながら四季を感じて、回転寿司をモリモリ食べて過ごしていました。

大好きといえば、やっぱり思い浮かぶのは家族の顔かな。私は4人姉妹の3女で、みんなすごく仲良しなんですよ。最近は、誰かと予定が合えば一緒にUFOキャッチャーへ出向き、ゆるキャラゲットに勤しんでいます。

4人共通でハマっているのは、おぱんちゅうさぎの「んぽちゃむ」ですね。真面目な話題なのに、お互い語尾に“ちゃむ”を付けて話すときがあります。

6つ離れた高校生の妹は、私に塩対応なところも含めて本当に可愛くて。「紗彩耶はただのお財布だし」なんて言ってくるものだから、つい何でも買ってあげたくなっちゃう(笑)。

アニメの世界に転生したい

水瀬紗彩耶:そして好きなものを語るうえでは、どうしてもアニメを欠かすことはできません。

好きな作品は8周以上見ていて、数分でも時間が空けばアニメの接種を始めてしまうめちゃくちゃなオタクです。ライブ配信でも、アニメの話になると声のトーンが一段階上がっている自覚があります。

ジャンプ作品でいえば『東京喰種』が大好き!言葉では言い表せないくらい愛していて、絵や世界観が私の好みにガッチリとハマっている作品です。

アニメを全部観終わったときは本当に寂しすぎて、少しでも世界に浸るため小説を買いあさっていました。さらには「あんていく」と似ているカフェを探してみたり……。

私はいまでも「喰種になりたい」という夢を抱きながら日々を過ごしています。でも、推しは喰種捜査官の鈴屋什造なんですよね。

そういえば、いろいろ設定を考え出したら止まらなくなったこともありました。「私が喰種でありながら喰種捜査官になれば、什造とも友達になれるかな……」とか!

水瀬紗彩耶:水瀬家では、子どもがテレビを積極的に観る習慣がありませんでした。幼少期の私にとってのアニメは『おじゃる丸』や『はなかっぱ』など、朝と夕方に放送するNHKの作品がすべてだったんですよね。

「なんだこれ!」

となったのは、高校生になり行動の幅が広がって、動画配信サービスを生まれて初めて起動したとき。当時の「アニメって、世の中にこんなたくさんあるの?」という衝撃は、いまでも忘れられません。

もし私がこの世から離れる日が来たら、次はアニメの世界に行きたいな……なんて本気で思っています。

人生を通して「表現をする」楽しさに気付いた

水瀬紗彩耶:私は小さな頃から、なんだかすごくぼーっとした子でした。しかも、何をやらせても周りより上手にできなかったので、きっと両親は心配していたと思います。

そんな私が唯一自慢できるのは、絵を描くことでした。小学校のクラスでもトップを争うほど上手で、母親からも「紗彩耶は絵の才能があるから、画家になったほうがいい」と言われるくらい。

なんにもできない私でも、絵だったら一番になれるし、両親からも特別褒めてもらえる。そんな気持ちが原点となり、気付けば毎日のようにペンを握る日々を送っていました。

水瀬紗彩耶:実は、上達に向けた努力を重ねるなかで、常にまっすぐ作品を生み出せていたわけではありません。

ときには描きたくないものにも取り組まないと、画力の向上は見込めない。そんな一つの現実を前に気持ちが追いつかず、高校時代はキャンバスとまったく向き合えなくなってしまいました。

もう一度チャレンジをしたい思いで、大学は芸術系の学部を選びました。しかし「課題で絵を描く」ことにやはり義務感のようなものを覚え、いつしか私を支配したのは「描くのが本当に好きなんだっけ?」という濁った感情でした。

また絵を描くのが大好きでたまらなくなったのは、3年生のときに芸能の仕事をはじめてからです。

与えられた課題や役柄を通して「表現をする」楽しさが私のなかにスッと落ちてきて、創作への思いがどんどん湧いてきました。いまでも休日には絵を描いており、自分の気持ちを整理できる大切な時間になっています。

水瀬紗彩耶:最近よく楽しんでいるのは、写真立てほどの大きさのガラスに絵を描く「ガラス絵」です。

描くときは、筆ではなく指を使うことが多いかもしれません。「いま、この部分を表現したい」と直感が働いたとき、すぐにキャンバスに反映できるのが指なんですよね。

普段は、全体の色合いだけを決めて、あとはその日の自分に委ねています。でも誰かにプレゼントする場合は、相手のことを思い浮かべながら指を動かすのを大切しています。

たとえば、とある尊敬してやまない先輩のときは、すぐに「赤」が頭に浮かびました。するとお花や花火のイメージも同時に湧いてきたので、絵柄にもどんどん取り入れていきました。

作品作りも後半にさしかかった頃、ふと私は、色を塗らないガラス部分に引っかき傷を入れました。すごくいっぱい引っ掻いたと思います。

そして完成したガラス絵は、傷が太陽の光を取り込んでキラキラと輝いていました。

先輩の過去の話を伺ったとき、さまざまな経験を重ねるなかで、ときに辛い出来事を乗り越えていまがある印象を受けていて。「傷があるからこそ、光り輝くものがある。」そんな私の思いを作品に込めることができたと思います。

舞台『振り子』に出演・まどかのまっすぐな思いを受け取ってほしい

水瀬紗彩耶:今回、鉄拳さんのパラパラ漫画が原作の舞台『振り子』に出演させていただきます。私が演じるのは、不良のとうじくんをずっと近くで見守る、青春時代のまどかちゃんです。

脚本を読んだとき、まどかに対して憧れのような感情を抱きました。とにかく明るくて優しくて、とうじくんを一途に思い続けているところが魅力的なんです。

真面目で芯が強いところは、もしかしたら私と似ている部分かも?役柄へ引っ張られやすいタイプなので、稽古が本格的にスタートしたら、いまよりもハキハキとした人間になっているかもしれません(笑)。

2人の生涯を描くからこそ、多くの人に刺さる作品だと思います。そのなかでも、自分に自信が持てずに悩む人がいれば、まっすぐに生きるまどかから“勇気”を受け取ってくれたら嬉しいな。

これまで多くの映像作品に挑戦させていただきましたが、舞台は約2年ぶりなのでワクワクしています。

これからも『振り子』のような人間味あふれる作品に携わっていきながら、表現する喜びを噛み締めていきたいです。

水瀬紗彩耶 @saaya_minase_

舞台『振り子』

https://www.furiko-stage.com/

上映期間:9月6~14日

劇場:IMAホール

チケットぴあ
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2560997

ローソンチケット
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取材・文 川上良樹

写真 森井 舞

森井 舞(写真家・フォトグラファー)

クラシックバレエはじめダンス、殺陣、2.5次元舞台といった舞台写真を得意とする。 スタジオの勤務経験も有 一児の母で子育て真っ最中 Instagram→ https://www.instagram.com/mowom.0214?igsh=aXdiaDQ2eHBjMjJv&utm_source=qr