2025年10月3日、新橋で半世紀以上も運営を続ける試写室にて、短編映画『それでも紙の本が好き』上映会が開催されました。
「やっぱり私は、紙の本が大好きなんです」
そう語るのは、本作の監督・脚本を務め、自らも出版業を営む上村雅代さん。
本記事では、キャストの蓬莱舞さん(娘、葵役)・佐々木しほさん(母親、千紗子役)の2人が、上村さんの司会で作品を振り返るクロストークの様子をお届けします。
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【それでも紙の本が好き・あらすじ】
昭和の面影が色濃く残る家。自宅で出版社を営む千紗子(佐々木 しほ)のもとに新刊の束が届く。本に駆け寄る娘の葵(蓬莱 舞)。二人は茶紙を剥がし、刷りたての本の匂いを深く吸い込む。「まだあったかいよ」と葵がつぶやく。
人は本の世界に入り込んでいる時、どんな景色を想い描き、どんな体験をしているのか。傍目には、ただ本に没頭しているようにしか見えないその瞬間に、想像を超えるリアルな世界がある。
AI時代の今こそ届けたい。観終えたあなたも、きっと紙の本を抱きしめたくなる。
※『それでも紙の本が好き』【予告編】
【クロストーク】紙の本の魅力は?
作品の上映後に実施されたのは、本が大好きな葵役を演じた蓬莱舞さんと、その母親である千紗子役の佐々木しほさんによるクロストーク。
監督・脚本の上村雅代さん進行のもと、作品に出演した感想や、紙の本に対する思いを語り合いました。

上村雅代:上映会という形で、あらためて作品を観ていかがでしたか?
佐々木しほ:私は与えられる役柄の幅が本当に広く、意地悪な女性役もよく演じています。今日は終始ニコニコした自分がスクリーンに映っていて、なんだか新鮮で温かな気持ちになれました。
蓬莱舞:この作品では、私が一人語りをするシーンがたくさんあります。AIと対話する部分とのバランスを取れるよう、試行錯誤しながら言葉を紡いだのを思い出しました。

上村雅代:母親役の千紗子が作品内で「生きるとは経験し、五感で楽しむこと、そんな感じるを楽しむことが幸せなのかもしれない」と語っていますよね。
2人が、幸せだと感じる瞬間はどんなときでしょうか?
佐々木しほ:私自身も映画が好きなので、作品を観て感動している瞬間が幸せだなと思います。もちろん『それでも紙の本が好き』も、幸福感に包まれながら笑顔で見届けることができました。
あとは特別な日に豪華な食事を目の前にしたときは、つい言葉でも「幸せ……」と言っちゃいますね!
蓬莱舞:私も佐々木さんと同じで、美味しいものを食べているときが大好きです! あとは、本当に何もしていない瞬間が、意外と一番幸せと感じるかもしれません。まさに、寝てる時間とか(笑)。

上村雅代:主役の葵が、開いた本に鼻を近づけて深呼吸をし、紙の感触を楽しんでいるシーンがあったと思います。
お2人は、本は紙派ですか? それとも電子派ですか?
蓬莱舞:紙派です。できるだけ紙で購入し、本の感触を楽しむようにしています。でも最近は、アプリで気軽に漫画を楽しむこともありますね。
佐々木しほ:私も同じです! 基本的には紙派なのですが、電子で楽しむことも少なくありません。でもじっくり読み返したいと思う作品の場合、紙の方が手に取りやすいのでおすすめです。

上村雅代:情報を早く検索したいときには、電子が便利だなと私も思います。
でも何度も読みたいとか、自分の本棚に入れておきたいとか。そんな大切に思える作品に出会ったときこそ、やはり紙の本で残しておきたくなりますね。
それでは最後に、この作品はどんな人に見てもらいたいかを教えてください。
佐々木しほ:電子書籍を普段読む方にこそ、この作品を観てほしいと思っています。少し手間をかけてでも、きっと紙の本を手にとってみたくなるはずです!
蓬莱舞:仕事や私生活で電子機器を使っており、とくにAI疲れを感じている人におすすめしたいなと思います。この作品が、紙の本と触れ合うきっかけになってくれると嬉しいです!

上村雅代:葵は、19~20歳ぐらいの女の子を想定しています。それぐらいの子たちは、スマートフォンが提供する豊富なコンテンツに時間を取られ、紙の本を読む機会をどんどん失っているのではと思っていて。
この作品を通して、紙の本がもつ魅力に気付いてくれる人が増えると嬉しいですね。私も本を作る側の人間として、“紙で残したくなる作品”を世に出していきたいとあらためて思いました。
今日無事に上映会を迎えられたのも、お2人が私の思いを丁寧に形にしてくれたおかげです。本当にありがとうございました!

出演者スペシャルコメント

葵役 蓬莱舞
蓬莱舞:葵は、活字を前にすると立ったままページをめくり続けてしまうくらい、とにかく紙の本が好きな女の子です。でも生活ではスマートフォンを使わざるを得なくて、AIにたびたび読書を邪魔されてしまう日々を送っています。
実はこの作品、監督・脚本を務める上村雅代さんの自宅(仕事場)がロケ地なんです。普段は出版業を営む上村さんのおうちは、想像以上にたくさんの本であふれかえっていて。なんだか不思議で新鮮な気持ちのまま演技ができました!
本の完成にはたくさんの人が関わっていることを知れたのも、出演して良かったことの一つです。この作品を観た方も、きっと葵みたいに紙の匂いをたしかめたくなるはず!
上村雅代:葵役はありがたいことに50近い応募があったので、急遽オーディションを開催させていただきました。こちらのお題に合わせてエチュードを見せてもらったときに、キラリと光っていたのが蓬莱さんだったんです。
かわいらしい見た目の印象に、瞬時に機転が利く圧倒的な頭の良さを兼ね備えており「葵役には蓬莱さんしかいない!」と思いました。即決でしたね。

葵の母親・千紗子役 佐々木しほ
佐々木しほ:千紗子は他人をジャッジせず、優しく受け入れるタイプの人間です。そんな千紗子のシーンはすべて、ポジティブで明るい太陽のような存在で描かれていたと思います。
でもその笑顔の裏では、きっとたくさん乗り越えてきたことがあるはずで。千紗子の一つひとつのセリフが、彼女の体験を語っているんだと思います。
『それでも紙の本が好き』は、紙の本こそ“人々の自由な発想で展開されていく物語”だと、五感で感じられる作品です。紙の本の魅力にまだ気付いていない方、普段は電子書籍で読むことが多い方にこそ、この物語に出会ってくれると嬉しく思います。
佐々木しほ
https://x.com/shihosasakiii
上村雅代:蓬莱さんが感覚で演技するタイプの女優さんに見えたので、千紗子役はその逆の、ひときわ演技力が映えていた佐々木さんを選ばせていただきました。
上映会であらためて作品を観て、対照的な演技をするお2人の共演は、当初の狙い通り……いや“狙った以上!”の相乗効果だったと感じました。本当に感謝しています。

監督・脚本 上村雅代
上村雅代:「斜陽産業」と言われて久しい出版業界。出版人の1人として、紙の本をこれからも残したい思いを込めたのが『それでも紙の本が好き』です。
スマホ全盛のいま、本のライバルは本ではありません。SNSやYouTubeや、配信動画や……。そんな時代だからこそ、短編映画という形でメッセージを届けることにしました。
私はやっぱり、紙の本が好きなんですよね。プライベートで本を読むときは、ドックイヤーをつけたり、知識系の本であれば三色ボールペンで線を引いたりなど、紙でしかできないことをよくしています。
パラパラ、つるつる、ザラザラの手触りや紙のにおいなど、ヘンタイ的(笑)な触感の好みについては、、、本編で葵が語ってくれていますので、ぜひ観てみていただきたいです!

【上映会】~参加者からの感想~
一言で素晴らしい映画でした。本の世界で生きる人々だけでなく、料理を丁寧に大切に作る素晴らしさから料理人やテーラーなどあらゆる職種の仕事に対するリスペクトを感じて感動しました。
働くことは、義務や罰ではなく、楽しくって素晴らしいというメッセージが力強くストレートに伝わってきました。
本当に古臭いですが、人間賛歌という言葉がぴったりな作品で、働く喜びを忘れた大人たちや夢を見るのを諦めた子供達に是非見てもらいたいと思いました。
精神科医、『だいじょぶだぁ〜』著者・平光源

短編映画「それでも紙の本が好き」
(出演)
蓬莱 舞/佐々木 しほ/和田 慎太郎
(監督・脚本)
上村 雅代
※映画の最新情報はこちらから
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