ポエトリー・オン

映画初出演で難役に挑んだ新星!「東宝シンデレラ」出身・西川愛莉が語る『君の顔では泣けない』の裏側と、若き表現者としての覚悟

2025.12.10

2022年、第9回「東宝シンデレラ」オーディション・審査員特別賞を受賞し、芸能界のキャリアをスタートさせた西川愛莉さん。

「他人の人生を生きる」という難題をテーマにした映画『君の顔では泣けない』。彼女は、この作品で水村まなみと心と身体が入れ替わってしまった男子高校生・坂平陸(15歳)を演じた。

映画初出演にもかかわらず、その繊細な表情の変化と、入れ替わった違和感を見事に表現し、注目を集めている。

難役を乗り越えた西川愛莉さんが、どのように役にアプローチし、俳優として成長を遂げたのか。撮影現場での知られざるエピソードから、彼女の素顔、そして今後のキャリアへの展望まで、率直に語っていただいた。

 取材・文・ 石原玄基

ーー映画『君の顔では泣けない』への出演について

西川さんは、体が入れ替わった状態を表情や振る舞いで見事に演じていました。どのようにしてこの難役と向き合ったのでしょうか?

「“中身が坂平陸(男子高校生)で見た目が水村まなみ(女子高校生)”という、すぐに自分には置き換えられない役柄だったので、まずは台本を読み込むことから始めました。すると陸の悲しみや葛藤へ寄り添えるようになり、気持ちを一緒に背負う覚悟が持てたのをよく覚えています。

リハーサルでは、私と“反対”の役を演じる武市尚士くんの挙動をじっと観察し、陸の内面への理解を深めていきました。」

監督からはどんな指示がありましたか?

「入れ替わった自分を認識するため、2人が喫茶店“異邦人”で向き合うシーンのリハーサルを重点的におこないました。お互いの前に鏡を置き、自分と話している感覚を掴む練習をしたのが印象に残っています。

監督からの提案を一つひとつ実践していくうち、自分の中にある陸のイメージがどんどん鮮明になっていきました。」

自転車を乗りづらそうにする仕草や、友達から自分の話をされた時の表情が素晴らしかったですが、それぞれどのようなアドバイスがあったのでしょうか?

「自転車にぎこちなく乗る演技では、そつなくできるまなみと、体すらうまく使えない陸とのコントラストを意識してほしいとお話がありました。

友達から自分の話をされた時の表情については、特に指示がなかったです。本番で実際に言葉を浴びて、自然に出たリアクションそのまま『もう衝撃、こんなん言われてんの俺』みたいな感じの表情をしました。

©2025「君の顔では泣けない」製作委員会

オーディションや合格した時の思い出はありますか?

「最終審査の時は、監督から『ちょっとシリアスに』『もっと夢や希望に満ちた世界観で』など、その場で色々な表現を求められたのが印象的でした。

手応えがあったわけではなかったので、マネージャーさんから電話で『決まったよ』と聞いた時は、一瞬頭が真っ白になって。でも、純粋にすごく嬉しかったです。」

合格の喜びを一番に伝えたのは、そばにいたお母さんだったとのことで

「お母さんは『え、本当に!?』とびっくりしていました。映画を観た後も、自分の娘が度々スクリーンに登場するので『落ち着いて見れなかった』と言っていましたね(笑)。」

ーー撮影現場での経験と成長について

撮影を通じて最も難しかったシーンはありますか?

「陸が入れ替わって初めて、まなみの姿で自分自身の実家に戻るシーンには悩みました。

家は変わっていないのに、見た目が違うからお母さんの反応が違ったり、弟が成長していたり。目まぐるしく陸の気持ちが変わる場面なので、自分の心もすり減らしながら覚悟を持って臨みました。」

映画初出演だからこそ不安だったことや、何か悩んだことなどありますか?

「撮影の進行についての勝手がわかっておらず、常にドキドキしながら過ごしていました。でも、同じく映画初出演の武市君と本番ギリギリまで読み合わせをしたおかげで、撮影を重ねるごとにリラックスしながら楽しめたと思います。

クランクアップでは陸とお別れする寂しい気持ちと「よっしゃ、やりきった」という達成感がありました。

©2025「君の顔では泣けない」製作委員会

大人の陸を演じた芳根京子さんについて聞かせてください。

「芳根さんとはリハーサルで初めてお会いしたのですが、サプライズで来てくださって。武市くんと2人で固まっちゃいました。

本当にもうすごくお優しい方で。ガチガチだった私たちを『そんな緊張しなくていいよ』と、ほぐしてくださいました。」

芳根京子さんと髙橋海人さんの異邦人のシーンを実際に見学したとお聞きしました。

「はい!私たちのシーンがない日にお2人の撮影があると聞き、スタッフさんにお願いして見に行かせていただきました。

本番直前までは、私たちと和やかに話してくださっていたんです。でもカメラが入った瞬間、芳根さんの中に陸がいて。髙橋さんの中にもまなみがいて。その自然さにとてもびっくりしたと同時に、ギュッと身が引き締まる感覚になりました。

芳根京子さんから何かアドバイスはありましたか?

陸の表現については『男の子を意識したり、仕草を決めなきゃ、じゃなくて、本当に陸として、ナチュラルにリラックスしてやったらいいと思うよ』とアドバイスをいただきました。

実際に『私だったらこうしてみるかな』と本番さながらの演技も見せてくださって。気付けば、陸という役への向き合い方が一段と深くなっている自分がいました。」

©2025「君の顔では泣けない」製作委員会

台本の読み込み方や役の理解を深めるためにしている工夫はありますか?

「私は深く考えるタイプなので、台本を読む際は段階を踏んでいます。まずは物語全体を楽しんで作品の世界観に没入することから始めて。その後は、自分が演じる部分に焦点を移して、俯瞰的な視点で読み込んでいます。

『このセリフの裏にはどんな真意があるのだろうか』『どういった葛藤を経て、この言葉を発したのだろうか』と、一つひとつのセリフを区切って、深く掘り下げていく感覚です。

そこで徹底的に考えたことを、最後に自分自身の中に落とし込んでいく。このプロセスを大切にしているので、いつも台本は隅々まで読み込んでいます。」

撮影前のルーティンはありますか?

「現場に台本を持っていかないこと!台本があると、結構ギリギリまで読んで、やっぱこれは違うかなとか、こっちの表現の方がいいのかなって、ぐるぐる考えちゃうタイプなんです。

なので事前に『自分はこれで行くんだ』っていうのを決めちゃいます。あとは現場でやってみて、監督の指示を聞いてチューニングを合わせていくイメージです。」

©2025「君の顔では泣けない」製作委員会

――俳優としてのキャリアと展望

将来的には、学園もののドラマやホラー映画への挑戦、さらには舞台や英語を使った活動など、「俳優という枠も超えていきたい」と意欲を見せていた西川愛莉さん。

最後に、若き表現者として目指す姿についてお聞きしたところ、彼女はこう締めくくった。

「作品によってイメージがガラッと変わる、オールラウンダーな俳優さんが理想です。さまざまな人の人生を生きられることこそがこの仕事の醍醐味だと思うので。プライベートの面では、周囲から自然と応援される存在になれるよう、自分自身を磨いていきたいと思っています。」

西川愛莉さんの役柄への深い洞察力と真摯な姿勢は、まさに次世代の才能の輝き。彼女自身の覚悟と努力が詰まった映画『君の顔では泣けない』は、その才能を証明する必見の一作だ。

目標に向かってひた走る西川愛莉さんのさらなる活躍に、心から期待したい。

西川愛莉
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『君の顔では泣けない』
絶賛公開中
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©2025「君の顔では泣けない」製作委員会
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ

石原 玄基

元芸能マネージャーのライター。シナリオライティングの脚本家としての活動を中心に、エンタメ記事の執筆など幅広く活動中。「俳優や制作者の魅力を発信しながら、エンタメ作品を盛り上げる」をモットーに執筆しています! https://note.com/gen1221genki/n/n2e4616733904