「――なんだろう。音楽がなかったら、こわいなと思います。詩やメロディに囲まれていないと、自分がなくなってしまう気がするので」
SHIONは、川崎にある「洗足学園音楽大学」の学生で結成された6人組アイドル『MARUKADO』のメンバー。ギター・ピアノによるソロ演奏、グループへの楽曲提供など「音楽」を軸に独自の活躍を見せている。
アイドルの枠におさまらない魅力をもつSHIONに、音楽との向き合い方を尋ねた。すると、何かを愛し続けることにより、人生が彩られていく様子を語ってくれた。
前編:「詩がしゃべるかのように、音が浮かび上がってくる」MARUKADO・SHIONの音楽人生
重なる「アイドル✕ミュージシャン」としての自分
SHIONが楽曲提供をした「ハチミツ」は『MARUKADO』の魅力を司る代表曲の一つになっている。迷いながらも作詞をしたというSHIONに、当時のエピソードを聞く。
「『ハチミツ』は、ステージに立つ側の人間から、フロアに訪れてくれる方に対しての思いを表現した歌です。でも、たとえば恋愛ソングなど、どのような解釈をしても間違いではない歌詞にできたと思っています。抽象的すぎても伝わらないし、真っ直ぐすぎてもちょっと胸焼けする。その”あいだ”を取れたおかげかもしれません」
※『ハチミツ』MARUKADO日本武道館フリーライブにて
実際に楽曲を披露すると、ファンを中心に予想を超える反響をもらえたそう。
「ダークな要素が入ったメロディだけでなく、なにより歌詞が刺さったと言ってくれる人がたくさんいて。素直に『私の思いをそのまま言葉にするだけで大丈夫なんだ』と気付かされました。生活のなかで『この体験は歌詞にできそう』と思える脳に切り替わった瞬間でもありますね」
作詞についての思いを語ってくれたSHIONに、作曲時に意識していることも聞く。
「私は、常に曲にだけは嘘をつかないようにしています。世間の反応を気にして、かりそめのものを作ってしまうと、結局は私自身が苦しくなってしまうから。もはや自分を救うために作曲していると言ってもよくて、同時に誰かを助けられたらラッキーみたいな感じです」

『MARUKADO』へ楽曲提供する際も同じ意識なのかを尋ねると、インスピレーションの部分で異なることを教えてくれた。
「私のなかには、アイドルとしてステージに立つSHIONと、そうじゃないときの詩音がそれぞれ存在している感覚があります。SHIONだから思いつく言葉もあるし、詩音だから奏でられるコードもあって。『MARUKADO』としてステージに立つ私だからこそ作れた曲でいうと『ハチミツ』のほかに『グッと!ズッと!ユートピア』が当てはまります」
「グッと!ズッと!ユートピア」は『MARUKADO』が2024年10月15日におこなった「日本武道館フリーライブ」にて初披露された楽曲。SHIONが作詞作曲を担当した。
※「グッと!ズッと!ユートピア」MARUKADO日本武道館フリーライブにて
「『MARUKADO』は、洗足学園音楽大学の卒業と同時に、グループからも離れる必要があります。でも卒業自体は悲しくなくて、描いた夢はずっと終わらない。そんなテーマで曲を書くことが決まっていたので、共感とともにメロディを紡いでいきました。結果的には、ただ明るいだけではない、底からの強いパワーを感じられる楽曲が完成したと思っています」
ここで、独特なタイトルを思いついた経緯についても尋ねる。
「『グッと!ズッと!ユートピア』という言葉にたどり着くまでは、実はものすごく苦労しました……!『ッ』の連続を起点としたリズムだけは決まっていたんです。停滞するなかでふと思いついたのが、”ユートピア”というワード。『MARUKADO』の存在を理想郷のようなものとリンクさせられたことで、私の心にピタッとハマっていきました」
「そこからはもう『ッ』に50音を全部当てはめです。そして、”GOOD”と”グッと引き寄せる”の2つの意味を出せる『グッと!』が誕生しました。ここまできたら、もう『ズッと!』しかありません。私たちはずっとここにいるよ、です」
音楽こそが生きた証
最後に、これまでアイドルやミュージシャンとして、音楽を愛する姿を見せてくれたSHIONに、これからの活動について聞く。
「とにかくいまは『MARUKADO』のことで頭がいっぱい。メンバーが大学を卒業して10人から6人になったので、ギアを全開にしていかないといけません!獅子谷詩音としてライブに呼んでもらうなど、個人としての活動が増えているのも嬉しいです。でも、どのような立場の自分であろうとも、培ってきた音楽性や考え方は曲げずに、まっすぐ私の歌を届け続けます。曲の中ではひねくれてしまっても、芯はブレないことを大切にしていきたいです」

「命があるかぎり、この世からいなくなることは避けられません。それでも、私が作った音楽は残り続けます。生きた証を刻むためにも、まだまだこの世界にメロディを産み落としていくつもりです」
しおん(MARUKADO) @shion_marukado
MARUKADO @marukado_staff
【LIVEインフォメーション】
6/20(金)
MARUKADO 第12回
アコースティックLIVE「花菖蒲」
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川上 良樹
『ポエトリー・オン 』編集長 エンタメ・ビジネス領域にて多数のインタビュー記事を執筆。 舞台の表側だけでなく、裏側にもフォーカスした取材をおこなう。https://kawakamiyoshiki.edire.co/
